建物探訪

さぬき市長尾町多和地区にある「細川家住宅」

山間の自然な地形を生かし、南向きの素朴な民家です。
国指定重要文化財の民家は香川県には5つありますが、その内のふたつは四国村に
もうひとつはみろく公園に移築されていますので、元々場所に建つ民家としては
県内貴重な文化財の民家です。
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建物はかやぶきの屋根に柱と壁の大壁づくりですが
圧巻なのは「ツクダレ」と呼ばれる軒先です。その茅の厚みにまず圧倒されます。
「ツクダレ」とは下屋を設けず大屋根を軒先まで葺きおろす形状だそうで
香川と愛媛だけで使われている呼称だそうです。
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家の中は土間と竹材のひかれた座敷の二間で、いろりが置かれています。
柱には栗の木が自然な形で使われています。
栗の木は湿気にも強く耐巧性の高い木材で、線路の枕木にも使われた時期もあったようです。
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製材されて形の整った柱でなく、切り出した時のままの形が生かされています。
300年近くの時を経た土壁や柱の色が、何とも言えず風情があります。
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土間から見上げるとチョウナをかけて仕上げた跡の見える大小の梁や
丸太をそのまま使って縦横に組み合わされた小屋組に素朴さを感じます。
当たり前といえば当たり前ですが、
現代の工業製品などをまったく使っていない100%自然素材の住宅です。
ツクダレの軒の下の掃き出しに腰掛けて一服すると、日当たりのいい前庭で
遊ぶ当時の子供たちの姿が浮かんできそうです。

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